社内利用OKでも、外部公開はNG?意外と知らない利用範囲の違い
2025/07/28

社内利用OKでも、外部公開はNG?意外と知らない利用範囲の違い
広告や販促物を制作する際に、誰もが一度は使ったことのある「写真素材」「イラスト素材」「フォント」。
最近では、素材サイトから手軽にダウンロードできるようになり、社内プレゼンや営業資料にも活用されています。
しかし、その素材――外部に公開しても本当に大丈夫ですか?
実は、「社内利用はOK」でも「外部公開はNG」といった利用範囲の制限が設けられている素材は少なくありません。
利用規約をよく確認せずに広告やWebに使用してしまうと、著作権侵害として警告や損害賠償の対象になる可能性もあります。
今回は、素材使用における「社内利用」と「外部公開」の違いに焦点をあて、企業が気をつけるべきポイントを詳しくご紹介します。
「社内利用OK=自由に使っていい」ではない
たとえば、ある写真素材サイトで見つけた画像に「商用利用可・社内資料利用OK」と書かれていたとします。
このとき多くの人が、「Webにも使えるんだ」と誤解しがちです。
しかし実際には、「社内資料での利用は可」と書かれていても、Webサイト・SNS・チラシなどの“外部配信”はNGというケースが少なくありません。
社内利用の例(OKな範囲)
・社内会議用のプレゼン資料
・社員教育の社内マニュアル
・社内報やイントラネット掲載
外部公開の例(要確認 or NGの場合あり)
・自社サイト・LPでの掲載
・SNSやYouTubeでの投稿
・外部に配布する営業資料やPDF
このように、「どこまでが社内か」「どこからが外部公開か」という区別が、素材の利用条件に大きく関わってくるのです。
実際にあった!利用範囲違反によるトラブル事例
事例①:営業資料で使用した画像をWebにも掲載してしまった
ある企業では、社内会議用の資料に使用していた素材を、そのままWebのニュース記事に流用。
本来その素材は「社内限定」での使用許可だったため、著作権者から削除要請と賠償を求められました。
事例②:フリー素材をSNSで使用 → 予期せぬ拡散で問題に
「商用OK」と書かれたイラスト素材をInstagram投稿に使ったところ、数万件のいいねが付き、海外でも拡散。
著作者から「SNS拡散は禁止」の条件に違反していると指摘され、投稿削除と公式謝罪が必要になった。
なぜ「利用範囲」がそんなに大事なのか?
素材の著作権者は、自分の作品がどこで、どう使われるかを制限する権利を持っています。
これを「利用許諾権」と言い、たとえば以下のように細かく設定されることがあります。
利用範囲 内容の例
社内資料限定
・会議資料・営業社内用・社内報など
広告での使用可
・Web・SNS・テレビCM・チラシなど
改変可・不可
:画像のトリミング・色変更・合成など
クレジット表記要否
・「Photo by ○○」など記載が必要か
利用期限あり
・○年間まで使用可能といった条件付き
著作権違反は「知らなかった」では済まされません。
企業としての信頼を守るためにも、使用前にライセンスを確認する習慣が欠かせません。
特に注意が必要な素材タイプ
1. フォント
フォントはパソコンにインストールされているものでも、商用で使うにはライセンスが必要なものが多くあります。
プレゼン資料には使えても、広告バナーや動画のテロップには使えないケースがあるため注意が必要です。
2. AI生成素材・テンプレート系
近年増えているAI画像やデザインテンプレートは、著作権や利用規約が不透明な場合も。
「著作権フリー」と書かれていても、配布者が本当に権利を持っているとは限らないため、信頼性のある提供元かを見極めることが重要です。
3. 音楽・BGM
YouTubeや動画広告で使うBGMには特に注意が必要。
「商用利用OK」と書かれていても、使用範囲が動画制作に限られていたり、再配布が禁止されていることがあります。
ディーズの対策:素材ライセンスの確認と管理の徹底
私たち株式会社ディーズでは、広告制作における素材の取り扱いについて、以下のような基準を設けています。
・使用目的に応じた素材の事前確認
「どこで使うか」「誰が見るか」「どれだけ広がるか」をヒアリング 用途に合わせたライセンス取得や確認を実施
・ライセンス管理シートの運用
使用素材の入手元、規約、使用範囲をシートで一括管理 クライアントにも素材の取り扱いガイドラインを共有
・オリジナル制作の推奨
イラスト、写真、動画などを自社制作でご提案
使用範囲・権利関係が明確なため、長期的な安心につながる
「使っていいかわからない」は、プロに相談を
広告素材は、単なる“飾り”ではなく、法的リスクを伴う要素です。
とくに近年では、SNSや動画などの拡散力が高い媒体での素材使用に注目が集まっており、著作権侵害の監視も強まっています。
もし「この画像、SNSに投稿していいの?」「このフォント、チラシに使って大丈夫?」と迷ったときは、
自己判断せず、プロの視点でのチェックを受けることが最善です。
株式会社ディーズでは、素材選定から権利確認、デザイン、広告運用まで一貫サポートを行っています。
まとめ|素材の使い方ひとつで、信頼が変わる
広告や販促物は、企業の“顔”とも言える存在です。
そこに使われる素材が、本来許可されていない使い方をしていたら――
それだけで、信頼やブランド価値に傷がつく恐れがあります。
だからこそ、「社内資料だから大丈夫」「無料だったからOK」ではなく、
「この使い方は本当に許されているか?」という視点を持つことが、今後ますます重要になります。
著作権・利用範囲を正しく理解し、安心して使える広告を制作すること。
それが、プロフェッショナルな広告づくりの第一歩です。