代表挨拶

昔ながらの広告理論との戦い。
それを突破することで、
新たな広告技法は生まれた。

私がコピーライターとなった約30年前、日本の広告業界はイメージ広告というものが主流であり、それ以外のものはまるで広告ではないと扱われるような時代でした。その中の一つに通販広告があるのですが、この通信販売の広告は概ね美しくない広告であり、広告関係者からは、汚い、泥臭い、と言った評価を受け続けていました。私がこの広告に出会ったのは、26歳の時です。大学を卒業後、大手企業に一旦は就職した私ですが、ある事情により、コピーライターを目指すこととなりました。時はバブル経済が崩壊した直後であり、未経験の私を採用してくれる広告会社はほとんどありませんでした。そんな状況ではありましたが私はある広告プロダクションにアルバイトとして採用して頂き、その後、この通販広告を主に扱う広告代理店に転職することになったのです。それが私の人生を大きく変えることとなりました。

コピーライターを生業とするために私はコピーライター養成講座にも一年ほど通いました。そこでは有名広告代理店のコピーライターの方々が講師として授業を行ってくれました。先生方の授業は賞を獲得した美しいキャッチコピーの話、また芸能人との仕事の話など、とても華やかなものでした。そして私は先生方から教えられたコピーライティングを懸命に勉強しました。しかし、転職した通販広告をメインとする広告代理店では、この技術が活かされることはありませんでした。いやそれどころか、逆にマイナスになることが多かったのです。

「阪尾君、君のコピーはまるでダメだね。商品が全く売れないじゃないか」
これがコピーライターとして私に下された評価でした。
私はこの通販広告の世界はおかしい。こんな泥臭い広告は本当の広告ではない、と自分をだまし、なぐさめて、しばらくの時を過ごしました。しかし、いくら通販広告から逃げようとしても、自分に未来がないことだけは分かっていました。だから、私は自分を否定し、自分を変えなければなりませんでした。そして、また0から積み上げようと、売るための広告技術を身に付ける決心をしました。

売るための広告技術修得は簡単なものではありませんでした。まとめられた書籍なども世の中に無く、皆んなが手探りで進んでいました。ただその中でも、私の通販広告の師である大久保部長だけは確固たる考えを持っていました。広告制作で重要なのは、コンテンツである。キャッチコピーや美しい写真だけでクライアントの売上げは上がらない。広告には何が入っているのかが重要なのだ、と説いていました。私はその言葉を信じ、まずコピーライターはコピーを書くのが仕事という概念を捨てました。そして広告制作の第一歩は精度の高いサムネイルを作る事だと考え直しました。まず、その広告に入れるべきコンテンツを考え、その後、キャッチコピーやメイン写真を考えるのです。現在はそのコンテンツを重要な4つにまで絞り込むことに成功し、書籍や教材として、世に広めることができるまでになりました。

成長の過程で私にも、ドラマのようなことが度々起こりました。通販広告は商品がいくつ売れたか、その結果がハッキリと出る広告です。それゆえ、売れなかった時の衝撃はクライアントにとっても私たちにとっても、とても大きなものとなります。そしてその時、誰かが責任を取らなければならない雰囲気になることがあります。28歳の時でした。その日のクライアントとのミーティングで私は土下座をして謝罪しなければならなくなりました。その時のことは今でもよく覚えていますが、クライアントの怒りは、ごもっともだったと思います。私の書いたコピーのせいで、その月の売上げが大きく減ってしまったのです。私はこんなことまでしなければならないのか、とは思いませんでした。それよりも、なぜ売れるのか、なぜ売れないのかを完全には理解できていない自分の未熟さに打ちひしがれていました。
また良いこともありました。修得していった自分の技術により、クライアントの売上げが何倍にもなることがありました。そのような時、広告制作者は崇められるように評価の言葉を頂くことがあります。何かの広告賞を取ったわけではありませんが、とても誇らしい気持ちになりました。

現在、私の主な仕事は、後進の指導育成です。現在のディーズのメンバーは私と同じような辛さを味わう必要はありませんが、彼らもまた彼らの時代と向き合う中で、売れる広告を作るという苦しみに直面しているでしょう。それを突破するためには、広告制作技術の他にクライアントと深く話し合い説得する勇気も必要です。この勇気を出せた時、それが成功するにせよ、失敗するにせよ、広告制作者はコンサルタントとして前進することができるのだと私は思います。

私は今年、54歳になります。まだまだ不十分ではありますが、自分なりの経験を積んできました。もし私の経験を基にした広告作りのコンサルティングを受けたいという方がいらっしゃいましたら、私の経験からお話をさせて頂きます。ご希望の方は、阪尾のコンサル希望ということでご連絡をください。一回だけとなりますが、もちろん料金は無料です。場所は資料の兼ね合いから、原則、弊社で行わせて頂きます。苦しんでいる方、どうすればよいか分からなくなってしまった方、いつでもお気軽にご連絡ください。皆さまとお会いできる日を楽しみにしております。

末筆ながら、努力を重ねる真面目な方々に幸運が訪れることを常に願っています。